オリンピック知的財産とは・・・・
オリンピックに関連する商標、特殊な標識、作品、特許及びその他の創作成果が有する専有の権利を指します。オリンピックの知的財産権の保護は、開催都市の契約の要求だけでなく、オリンピックが順調に開催されるための保障条件でもあり、同時に開催都市ひいては国の知的財産権の保障レベルを展示・検証するための基準でもあり、開催国の国際的名声にもかかわります。
オリンピックに関する代表的な知財事件はどのようなものがあるのでしょうか。裁判所がオリンピック知財事件を審理する際に、どのような要点に注目するのか、北京知識産権法院が代表的な事案について小括を行った内容を紹介します。
1.五輪マークをめぐる紛争
オリンピックのテーマに関連する各種標識、スローガン、マスコット、エンブレムなどを含む紛争
事案① 「オリンピック五環マーク」事件では、中国汕頭市の食品会社が許可を得ずに製造販売したシリアル製品の包装に、オリンピック五環と中国のスポーツ選手団に関する用語が印刷されており、中国オリンピック委員会に提訴されました。
事案② 北京オリンピックのマスコットである「福娃(フーワー)」作品事件において、創作者である張氏と丁氏は、裁判所に対して、被告の韓氏(当時、北京五輪マスコット改変チーム長)が北京五輪組織委員会に提供したマスコット美術作品は、原告2名が創作し、北京五輪組織委員会に提供した合作作品をアレンジしたものであることを確認してほしいと要請しました。
2.五輪スタジアムをめぐる紛争
オリンピック競技場の建設に関連する権利と社会的影響に関する紛争
事案:「鳥の巣花火」事件では、北京五輪の主会場である国家体育場(別名「鳥の巣」)の建築作品の著作権者である国家体育場公司が、ある花火会社が制作した「鳥の巣盛放」花火が著作権を侵害していると訴えました。
3.祭典をめぐるトラブル
主に五輪関連の祭典が開かれる過程で発生した紛争
事案:「音楽噴水」事件は、五輪関連の参考になるその他事件ですが、この事件では、当事者が、青島世界園芸博覧会における音楽噴水の噴射効果の表現が、作品を構成するかどうか、どのような作品を構成するかと権利の帰属が存在するかを論議しました。
4.競技中継をめぐるトラブル
オリンピック競技は全世界の観衆の関心事で、インターネット技術の発展に伴い、新たなメディアの加入が競技中継における法律紛争の焦点となっています。
事案:「聖火ランナー」事件では、広州にある会社が情報ネットワークを通じて、リアルタイムでオリンピック聖火のエベレストリレーを中継する番組を一般に提供し、権利者である中央テレビ国際ネットワーク会社から情報ネットワーク伝播権を侵害したとして訴えられました。
事件に対する裁判所の審理
一、厳格に法律を執行し、法律の範囲内で積極的に有効な措置を取り、オリンピックの知的財産権者に十分な司法救済を与える。
裁判所は「五輪マーク」事件において、五輪マークが知的財産権に属すると指摘しました。中国オリンピック委員会は、オリンピックの五輪マークを侵害されないように守る義務があり、国際オリンピック委員会の権限に従い、五輪マークを侵害する行為に対して法的措置を取ることができます。被告が許可なく五輪マークを使用したことはすでに著作権侵害になり、被告は相応の法的責任を負わなければなりません。
「鳥の巣花火」事件において、裁判所は、建築作品の保護は、主に実際の機能とは独立した芸術的美感の保護であると指摘しました。被告が「鳥の巣盛放」の花火製品を許可なく製造・販売したことは、国家体育場の建築物に対する原告の権利である複製権、発行権を侵害しています。
二、異なる分野の具体的な保護範囲と強度を合理的に確定し、知的財産権者の権利と他人の合法的な権利、社会公共の利益のバランスの取れた発展を実現する。
「福娃(フーワー)」作品事件では、原告2人が創作した、オリンピックマスコットデザイン大会への出展作品について、北京五輪組織委員会と「確定書簡」を締結し、契約の約束の形式で、著作権を含むがそれに限定されない関連権利を明確に放棄してるため、関連作品に対して相応の主張と請求を提出することができないと裁判所は判断しました。
三、立法の目的と価値によって法律を解釈することを追求し、時代の発展に順応する必要がある。即ち紛争中に生じた新たな状況や新たな問題は、現行法を活用して保護し、文化芸術科学の革新的発展と繁栄を奨励する。
「音楽噴水」事件では、音楽噴水の噴射効果の表現は、美術作品に属する余地があると裁判所は判断しました。中科水景会社は曲の確定、水の動き、デザイナーのプログラミング、総合的段取などの創作行為に従事しているため、関連作品に対する著作権を有しています。